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​「忠厚伝」

​燃えよ!知性の剣も ―和算とLOVEとアメリカと―

松平忠固の2人の子息の物語。

明治初期になり、アメリカ留学を果たすが、当時の差別問題にも触れながら、兄は家督継承のため帰国、弟は日本人としては初めての国際結婚を果たすなど実に興味深い事実がストーリーに見え隠れしている。

歴史考証:関良基  

音楽協力:メカエルビス

コンクリート

ストーリー

明治に年号が変わる慶応四年(一八六八年)には、まだ甲州街道沿いの村をも巻き込む混乱が続いていたが、新政府が発足した明治初期、アメリカ人宣教師たちの勧めもあり、岩倉具視や勝海舟の子息などが続々とアメリカへ留学をしていた。そのような時、明治五年(一八七二年)亡き父、松平忠固の遺訓に従い、忠礼、忠厚の兄弟は私費でラトガース大学への留学を果たす。グラマースクールで英語の習得に打ち込む二人だが、秀才型の兄と天才型の弟は次第に溝を深めていく。和算と測量の知識に優れ、モニトルと呼ばれる学生代表に選ばれるほど人望のある忠厚はグラマースクールを予定よりも短期間で切り上げ、他大学へ移り土木工学の研究に打ち込む。兄はラトガース大学の理学部に進み、留年をしながら卒業までこぎつける。兄の忠礼は、父の意思に従い上田藩主を継いだが、兄弟の側室の身分の違いによりお家騒動が起き、また、大政奉還後に自らが下した判断にも苦しむ。やがて忠礼は卒業が決まり、日本への帰国の準備をするが、忠厚は書店の娘、カリー・サンプソンと恋に落ち、駆け落ちをしてニューヨークへ行ってしまう。一八七九年、忠礼は一人、帰国の船に乗る。

 

『忠厚伝』合情記 参考文献

『埋もれた歴史 幕末横浜で西洋馬術を学んだ上田藩士を追って』

東郷えりか著  パレード  二〇二〇年九月一五日発行

『黄金のくさび 海を渡ったラストプリンス松平忠厚《上田藩主の弟》』

飯沼信子著  郷土出版社  一九九六年九月二八日発行(古書)

『尊王攘夷 水戸学の四百年』 片山杜秀著  新潮選書 二〇二一年五月二五日発行

『氏名の誕生―江戸時代の名前はなぜ消えたのか』

尾脇秀和著 ちくま新書  二〇二一年四月一〇日発行

『女官 明治宮中出仕の記』

山川三千子著  講談社学術文庫  二〇一六年七月一一日発行

『幕末遣外使節物語 夷狄の国へ』

尾佐竹猛著 吉良芳恵校注 岩波文庫  二〇一六年三月一六日発行 

『実録 アヘン戦争』

陳舜臣著  中公文庫  一九八五年三月十日発行

『和算 江戸の数学文化』 小川束  中公選書  二〇二一年一月十日発行

​声の出演

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